色をつくる - 赤と何を混ぜると緑になる? -

2017.7. 22 sat   -  2018 .3.17sat


 普段、私たちの身の回りに溢れている「色彩」はどのようにしてその色になっているのでしょうか。雑誌の写真の色、服の色、ライトの色など、普段の生活の中では、当たり前すぎてどのような仕組みや過程でその色になっているかを意識することはないかもしれません。しかし、様々なものの色がどのように作られているかをより深く知ると、色の世界の不思議さ、奥の深さ、楽しさが見えてきます。

 「つくる」という単語には「作成する」という意味のほかにも「創造する」という意味があります。本展では、インタラクティブアート、ライトアート、印刷、伝統工芸など、様々な分野のアートやデザイン作品を通して、色が創造される過程や仕組みを知ることができます。これらの作品の色彩生成の過程を体験することによって、達人たちが紡ぎ出す色彩の多様性、神秘性の秘密の一端を覗き見ることができるでしょう。そして、普段の生活の中で、「この色とあの色を混ぜるとどうなるか」を想像してみれば、あなたを取り巻く色世界がさらに芳醇なものに見えてくるに違いありません。


カラボギャラリー ディレクター 野口 靖 
(東京工芸大学芸術学部 インタラクティブメディア学科 教授)

展示作品・作家

Binary Star, Standard Observer (Looking Glass), LINE(3作品)

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Binary Star(2016)

メディアーティストのJames Clarは、メディアとテクノロジーが文化とアイデンティティの認識に与える影響を探っている。Clarの作品には、個別に制御された1000個のLEDがキューブを構成するコンポジションなどがあり、Dan FlavinからOlafur Eliassonまで、光に焦点を当てたアーティストの系譜上の新世代である。本展では、特に色彩に焦点を当てた作品を紹介する。

James Clar  ジェイムズ クラー

James Clarは、テクノロジー、ポピュラーカルチャー、および視覚情報を融合させた作品が特徴のメディアアーティストである。彼の作品は、さまざまなコミュニケーション媒体の限界とその個人および社会への影響を探究しており、特に「照明」を媒体としたものが多い。 Clarはニューヨーク大学の学部で3Dアニメーションを学び、同大学のInteractive Telecommunications Programで修士を取得しており、作品はChanel Mobile Art exhibition(東京)、The New Museum of Contemporary Arts(New York)、The Chelsea Art Museum(NY)、LV Gallery (香港)などのコレクションになっている。



Immersive Shadow: RGB

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Immersive Shadow: RGB

壁に投影された赤・緑・青の光の三原色のボールを体験者の影で弾く事ができるインタラクティブアート作品。異なる色のボールが重なると、光の色の合成によって様々な色が作り出される。

藤本 直明  Naoaki Fujimoto

アーティスト、フリーランサー。「体験」そのものを創り出す事を目的とした作品を制作する。代表作の《Immersive Shadow》は、国内外の美術館や建築物の外壁へのプロジェクションマッピングなどで、のべ40回以上の展示実績を持つ。他の作品として、《覗かれ穴》《衝突と散乱》《新しい過去》など。東京工芸大学および多摩美術大学、非常勤講師。



The world beyond the golden color 金色の向こう側にある世界

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The world beyond the golden color 金色の向こう側にある世界

ずっと以前から『金色』へのこだわりがあり、金色の紙や金色のインキを使って、金色だけの作品をつくってみたいと考えていた。そんな折、2006年に凸版印刷株式会社が主催する「グラフィックトライアル」というプロジェクトから声がかかり、以前から構想してきた、オフセット印刷における金色の表現を追求することができた。この5連のポスターはその際に制作した作品だ。

谷口 広樹  Hiroki Taniguchi

1957年生まれ。 東京藝術大学大学院修了。長野オリンピックプログラムやヨックモックのパッケージデザインなどを筆頭に最近では手拭や風呂敷といった和のテイストも手掛ける。グラフィックデザインやイラストレーション、絵画を中心にジャンルを超え精力的に活動する。日本グラフィック展大賞やJAGDA新人賞など受賞多数。TIS会員、JAGDA会員。東京工芸大学教授。



LIMITS TO GROWTH

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LIMITS TO GROWTH

卵を地球に見立て「成長の限界」を意図しています。「啐啄(そったく)」という言葉をヒントにデザインした。雛が卵からかえる時、内からつつくのを「啐」、母親が外からつつくのを「啄」。卵の殻のリアリティを求めるデータは7000万画素。さらにセンサーやレンズの性能により驚異的な画質が実現した。一方で光の空間に存在するなめらかさを演出する対照的な難しさもあり、両方の存在感をまとめ上げる特別な印刷技術によって完成した作品である。
注)タイトルのLIMITS TO GROWTHは、ドネラ H.メドウズの「成長の限界」からの引用

勝井 三雄  Mitsuo Katsui

1931年東京都生まれ。東京教育大学卒業。書籍、雑誌、CIをはじめ、グラフィックデザイン全般、大阪万国博、沖縄海洋博、つくば科学博のAD、花博シンボルマーク等を手がける。視覚のシステムを探ろうとする試みから表現を生かし新たなコミュニケーションの領域を拓く。武蔵野美術大学名誉教授。JAGDA理事。東京ADC、AGI各会員。毎日デザイン賞、東京ADC会員賞、芸術選奨文部大臣賞、紫綬褒章、勝見勝賞ほか、ワルシャワをはじめとする各国で受賞多数。



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「紅」

紅は遥かな昔、海を渡ってやって来た花のいろ。
紅を差した唇はなぜか透明感のある美しさ。黄色いベニバナの花に含まれるわずかな紅の色素を、カラムシの繊維に吸い取らせて精製する工程を美しく描くとともに、透明感とは何か、実験を通して紅の特別な美しさの秘密に迫る。

佐々木 麻衣子  Maiko Sasaki  指導教員 : 矢島 仁

2016年3月、東京工芸大学芸術学部卒業。日本古来の口紅を題材に、その歴史と製法を解説した卒研作品「紅」は、内外の映画祭で上映され高く評価された。プロの映像スタッフとしてのオファーもあったが、現在は在学中に解き明かせなかった「紅色素の呈色機構」を解明するために工学部のスタッフと共同で研究を続けている。指導教員:矢島仁。


色の体験型展示

制作:東京工芸大学芸術学部 インタラクティブメディア学科 ソフトウェアデザイン研究室学生

代表的な混色方法である、RGBとCMYKの仕組みを実感することができる、体験型作品を展示する。



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カラボギャラリー(会場)へのアクセス・開館時間など

開館時間火曜日 - 土曜日 10:00 -17:00
休館日月曜日・日曜日・祝日
(※本学オープンキャンパス等の本学イベントがある際には不定期に開館する場合があります。)
会場東京工芸大学厚木キャンパス12号館 2 階 カラボギャラリー
〒243-0297 神奈川県厚木市飯山 1583

主催 東京工芸大学
協力 凸版印刷

その他、会期中、色の体験ワークショップなど、さまざまなイベントを開催予定です。
詳しくはこの公式ホームページでご確認ください。