近代建築空間における色彩に関する復元的研究--ヴァイマール期ドイツのジードルンクを中心に

工学部 工学科教授 海老澤 模奈人


生活空間を豊かにするために建築への彩色が広く試みられたのが、1920年代のドイツです。その一例はジードルンク(住宅団地)の建築に表れます。建築家ブルーノ・タウトの作品を中心に、近代建築空間における色彩を考察します。

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20世紀初めに西欧で成立した近代建築は、従来の様式や装飾表現から離れ、幾何学形態にもとづいた抽象度の高い造形を実現させました。それらは一般に白黒の写真や映像で伝えられるため、モノトーンのイメージが強いのですが、実際は建築空間に特性を与える手段としてさまざまな色彩が用いられていました。建築空間における色彩というテーマに建築家たちが積極的に取り組んだのが、ヴァイマール共和国時代(1919-33)のドイツです。特にこの時代に数多く建設されたジードルンクと呼ばれる住宅団地では、生活空間を豊かにする方法として、建築の内外に多くの色が用いられています。ジードルンクにおける色彩の建築家として有名なのが、1930年代に日本でも活動したブルーノ・タウト(1880-1938)です。本研究ではブルーノ・タウトが設計したジードルンクの建築を中心に、ヴァイマール時代ドイツの建築家たちによる建築彩色の試みを、文献および建築の調査をとおして復元的に考察していきます。