生体高分子のゲル化がもたらす構造色とフォトメカニカル効果への応用(7-2(15))

工学部 生命環境化学科教授 比江島 俊浩


生体高分子の自己組織化がもたらす「液晶由来の構造色」と光で色を変化させる分子(フォトクロミック分子)の「色の力」との相乗効果を利用して、高速・高感度で光に応答する分子ロボットの創生を目指しています。


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モルフォ蝶やタマムシの翅には色素も顔料も含まれていません。それでも鱗粉やたんぱく質を何層にも組み合わせた微細な構造を作り上げることによって、美しい金属光沢を帯びた色彩(いわゆる構造色)を生み出し、外界からの紫外線や熱線を跳ね返す術(機能)を習得してきました。

私たちの研究室では、生体高分子の1つであるポリグルタミン酸をゲル化すると、淡いピンク色の構造色を呈することを見出してきました。さらにその一部を光で色を変える分子(フォトクロミック分子)に置き換えると、紫外線の照射によって鮮やかな色調の変化を示すだけでなく、まるで植物のように光に向かって運動し始める―いわゆる光駆動型の分子ロボットを作成することに成功してきました。その光応答性が世界最高レベルの高感度と高速性を有しているだけでなく、ゲル化剤の種類を替えると正負双方向に自在に運動させることを世界で初めて成功しました。本研究の意義は、生態系を模倣した「色の科学」の追究を通して、人の心に驚きと感動を与える高機能性の有機材料の設計指針を提供することあります。


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