令和元年度事業実績

私立大学研究ブランディング事業
令和元年度の進捗状況

事業名:「色」で明日を創る・未来を学ぶ・世界を繋ぐ KOUGEI カラーサイエンス&アート
申請タイプ:タイプB/支援期間:5年/収容定員:3940人

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外部評価委員会報告(令和元年度) ダウンロード

事業概要

 テクノロジーとアートの融合を目指した小西写真専門学校をルーツとし、現在では工学部と芸術学部を擁する本学ならではのブランド(独自色)を大きく打ち出す全学的研究テーマとして、「色」を取り上げ、国内の大学では唯一の「色の国際科学芸術研究拠点」を形成する。色はテクノロジーからアートまでを包含する学際的研究分野であり、これを推進することは、「真の工・芸融合」を目指す学長の大学運営の方向性と合致している。

1. 事業目的

 本学の原点は、1923年(大正12年)に創設された「小西写真専門学校」である。当時の最先端表現技術であった写真に関する技術者・研究者を養成するために創設され、写真技術(テクノロジー)と写真表現(アート)との融合を目指した先駆的な学校であった。現在では工学部と芸術学部の2学部を擁する、極めてユニークな学部構成の総合大学へと発展し、工・芸融合を大学の特色として標榜している。本学のロゴデザインの水色の円は工学部、黄色の円は芸術学部、それらが交わる緑の部分は工学部と芸術学部の融合を表している。しかしながら、創設当時と比べると、研究・教育の両面において工学部と芸術学部の融合・連携は必ずしも活発ではなく、本学が持つ独自性、潜在能力を十分活かしきれていないということが、本学の大きな課題のひとつである。
 そこで、本学のルーツである写真、印刷、光学といった学問分野に根差し、今日の工学部と芸術学部の両学部に共通する全学的な研究テーマとして、「色」を取り上げ、国内の大学では唯一となる「色の国際科学芸術研究拠点」を形成し、ロチェスター工科大学(米)、中国文化大学(台湾)、タイ王立チュラロンコン大学、東フィンランド大学等、工・芸にわたる色の研究機関を有する海外の大学との連携もはかりながら、「色といえば東京工芸大学」と言われるようなブランドを築くとともに、学長方針である「真の工・芸融合」を目指す。
 外部環境、社会情勢に目を向けると、大手電機メーカーをはじめとする輸出産業の不振に伴う経済成長の低迷、超高齢化社会、日本の将来を支える教育の3つが、今、我が国が抱える最も大きな課題であるといえよう。各国の嗜好に合わせた製品の色・デザイン、色が重要な要素となるメディア輸出産業(いわゆるクールジャパン)、医療・介護および教育への色の応用等、色の研究は、我が国が抱える問題に対して大きな貢献を果たすことができると確信する。
 一方、明るい話題としては、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会が挙げられる。本事業は、同大会での映像、写真、印刷等の色彩表現技術の革新に寄与するとともに、同大会を契機としたイベントにも、色をテーマとしたメディアアート作品によって参画し、世界に向けて本学のブランドを発信する。

2.令和元年度の実施目標及び実施計画

◆目標

①「色の体験学習型教育システム」のコンテンツの拡張・充実

②重点研究テーマの確実な実施

③文化庁の「文化力プロジェクト」への参画に向け、色をテーマとしたメディアアート作品制作


◆実施計画

①色に関する工・芸共同研究の成果や他の研究機関による最新の研究成果をメディアアートの手段でわかりやすく楽しく伝えるコンテンツを制作し、「色の体験学習型教育システム」のコンテンツのさらなる拡張・充実をはかる。

②過年度と同様な方法で研究テーマの進捗管理と評価を行っていく。

③文化庁は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした「文化力プロジェクト」を構想している。同構想の戦略のひとつとして、「アートと科学技術等との融合による人材育成やイノベーションの創出」が挙げられており、これはまさに本事業の趣旨と合致している。この「文化力プロジェクト」への参画に向け、本学出展プログラムのコンセプトの立案ならびにメディアアートコンテンツの制作を行う。


◆目標達成の測定方法

①平成31年度までの工・芸共同研究の成果が全てコンテンツ化され一般公開されていること。

②過年度と同様な方法で研究テーマの目標達成度を測定する。

③年度末までに「文化力プロジェクト」への出展プログラムのコンセプトが固まり、大部分のメディ アアートコンテンツが制作されていること。

3.令和元年度の事業成果


①「色の体験学習型教育システム」のコンテンツを拡張・充実させ、平成29年7月にオープン させた国内初の「色」の常設ギャラリー(愛称:カラボギャラリー, col.lab)にて、以下の2回の企画 展および学外での出張カラボギャラリーを2回実施した。


・第4回企画展「レインボー・ヴァリエーションズ」Rainbow Variations (5月25日~10月26日)
 オープニングトークイベント: 小山泰介氏、砂山太一氏、水野勝仁氏

 https://www.color.t-kougei.ac.jp/events/events28_19.html


・第5回企画展「色と対話する展」Talking with Color(11月19日~2020年4月25日)
 オープニングトークイベント: 茂木健一郎氏

 https://www.color.t-kougei.ac.jp/events/events28_21.html


・出張カラボギャラリー:東京工芸大学 Presents ロボフェス2019 inパシフィコ横浜(9月7日~8日)

 http://www.seit.t-kougei.ac.jp/vision/RobotFestival/make_area.html

 
・出張カラボギャラリー:厚木CHiKaフェス(11月9日~10日)

 https://www.u-presscenter.jp/2019/10/post-42545.html

 
また、子供を対象とした以下の4種類の体験ワークショップを実施した。(7月27日)

 https://www.t-kougei.ac.jp/static/file/wakuwaku_2019.pdf

 
「漫画の自分が絵の中に入っちゃう?!~クロマキー合成を使った漫画下じきづくり」
「カメラを作ってみよう!」
「紅花染めって、どんな色?」
「日常探検ABO~カラフル!色のふしぎ編~」

さらに、日本色彩学会第50回全国大会が本学厚木キャンパスで開催され、学長が本学のブラ ンディング事業の活動を紹介する基調講演を行った。(6月1日)  

 http://www.color-science.jp/zenkoku2019/News43_3.pdf#page=5

 
またさらに、これまでのcol.labでの事業とメンバーの活動の一部をフィンランドのエミール・セーデ ル・クロイツ美術館で展示・紹介するとともに、col.labに関わる活動や展示内容についてのシン ポジウムを開催した。(8月16日~18日)

 https://www.color.t-kougei.ac.jp/events/events28_20.html

 


②3ヶ月に1回、「色の国際科学芸術研究センター管理運営委員会」を開催し、今年度の重点 研究テーマ15件の進捗状況を点検した。また年度末には、研究実績報告書(研究進捗度、論 文、作品、学会発表等の記述を含む)の提出を義務付け、その内容に基づき「自己点検・評価 部会」にて成果の検証を行った。


③2020年3月13日~14日に本学中野キャンパスで、「色の科学・芸術に関する国際シンポ ジウムとメディア芸術作品展覧会(The 2nd International Symposium for Color Science and Art 2020)」を開催すべく、15件すべての研究成果論文を掲載したProceedingsを発行したり、 col.labで展示した作品の中から、選りすぐりの体験型メディアアート作品展覧会を準備したり、チ ラシやポスターを発送するなど万全の体制で臨んでいたが、コロナウィルス感染拡大の影響で やむなく中止(当分の間延期)とした。ただし、同Proceedingsに掲載した全論文が、日本写真学 会誌83巻2号(2020年5月発行)の特集に転載されることとなった。
 https://www.color.t-kougei.ac.jp/events/events28_22.html

4.令和元年度の自己点検・評価及び外部評価の結果

(自己点検・評価)
 学長、色の国際科学芸術研究センター長、同副センター長による自己点検・評価部会を年度末に開催した。上記の事業成果欄に記したとおり、①に関しては様々な活動やイベントを数多く実施することができた。②の重点研究テーマ15件の成果に関しては、研究進捗度、論文、作品等の業績からA, B, Cの3段階で評価した。Aが9件、Bが4件、Cが2件であった。③の文化庁の「文化力プロジェクト」は、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の「東京2020参画プログラム」に吸収されたため、同プログラムの中の「東京2020文化オリンピアード」に、上記「色の科学・芸術に関する国際シンポジウムとメディア芸術作品展覧会」を申請し、認証を得ることができた。チラシやポスターには「東京2020参画プログラム」のロゴマークもつけることができた。全体として当初の目標を大きく上回る成果を挙げたと評価している。

(外部評価)
 外部有識者として日本色彩学会会長、日本画像学会会長、コニカミノルタ科学技術振興財団、リコー、光学技研(厚木商工会議所所属企業)、研究成果を波及させようとする対象として小鮎小学校、小鮎中学校、厚木高校、厚木市役所の方々に外部評価委員を委嘱している。第4回外部評価委員会を3月19日に開催予定であったが、コロナウィルス感染拡大の影響により書面での審査・評価を受けることとした。令和元年度の実施目標(上記①、②、③)に加え、④として「ブランディングの取り組み」という実施目標項目を加え、それぞれ5段階(0, 1, 2, 3, 4)で評価していただいた。その結果、②と④の2項目に対して外部評価委員9名全員から4点(十分行っている)という評価を得た。①の項目については8名が4点(十分行っている)、1名が3点(行っている)の評価であった。③は7名が4点、2名が3点であった。詳細は別紙の外部評価委員会議事録および評価結果を参照。

5.令和元年度の補助金の使用状況

  • 重点研究テーマ15件への研究費
  • カラボギャラリー企画展: 作品・ビデオ制作、広報(チラシ・ポスター・ネット広告)
  • 学外での出張カラボギャラリー: 展示設営、運送
  • 特設ウエブサイトのサーバー維持管理、中国語サイトの作成
  • 特設ウエブサイトのサーバー維持管理、中国語サイトの作成
  • 国際シンポジウムとメディア芸術作品展覧会: Proceedings・チラシ・ポスター制作、送付
  • ロチェスター工科大学との連携旅費
  • カラボギャラリーアルバイト、事務アルバイト