実物の写真作品を見ているかのようなリアルな色調と質感の画像をディスプレイ画面に再現する、デジタル展示システムの研究を行います。芸術作品や貴重な歴史的写真を、本物と同等のクオリティーで鑑賞できるシステムを開発します。
本学中野キャンパスの写大ギャラリーには10,000点以上の貴重な写真コレクションがありますが、年数回開催される企画展ではそのごく一部しか展示されず、多くの作品は人目に触れず眠っています。何割かの作品については画像として保存され、指定された端末で閲覧できるようになっていますが、芸術作品としての鑑賞に耐えるものではありません。本研究では、作品の色彩情報を分光(スペクトル)データとして、また、実物の微妙な質感も併せて取得・保存することにより、任意の照明条件の下で観察される作品の色調と独特の質感をディスプレイ上で再現することを目標にしています。これが実現すれば、芸術性の高い写真や劣化し易く歴史的価値の高い写真を、本物と同等のリアルな色と質感で鑑賞することが可能になり、より多くの作品に触れる機会が得られます。さらには、絵画や書画、歴史的資料などにも応用を広げることで、人類の貴重な美術品や文化財を一つの場所で鑑賞することが可能になります。